住宅にかかるお金のお話②

前回、賃貸~持家までの大きな枠でのお金のお話をしましたが、今回は持家の中でも戸建の中で分けられる種類別のお金のお話をしていきたいと思います。

得られる価値とそれに伴う金額

持家(戸建)は大きく、中古住宅と新築住宅に分けられます。

中古は、既にリフォーム済みもしくはご自身でリフォームなどを行う必要があるケースに分けられます。
ご自身でリフォームなどを行う場合、手を加える度合によって得られる価値と金額は大きく異なりますので、リフォーム(小規模)とリノベーション(大規模)別に考えたいと思います。

新築は、建売住宅と規格住宅と注文住宅に分けられます。

それぞれのメリットデメリット、総支払額を考えてみましょう。

中古住宅(リフォーム・リノベーション)

中古住宅購入は、最近空き家率の増加に伴い価格を抑えて購入できるということで、中古物件を購入し手を加えて住むことが人気となっています。

リフォームとは、劣化した建物を新築の状態に戻すことを言います。
外壁の塗り直しや水廻り関係の入れ替えなどを指します。

リノベーションとは、新築の状態よりも更に価値を高めることを言います。
構造上影響の無い仕切り壁を無くすといった間取りの変更を行ったり、断熱性能や耐震性能を向上させる補強工事などを指します。

まずは、中古住宅のメリットとデメリットを考えてみましょう。

■中古住宅のメリット
耐震補強や断熱補強をしっかり行うといった条件付きで、新築住宅購入より安い場合はメリットとなります。
単純に中古住宅購入金額が新築住宅購入金額よりも安いから購入するというのは危険です。
中古物件の中でも、1年の差で大きな金額差がある場合は、新耐震基準のクリア前後や大規模地震前後などが基準となっている可能性が高いです。
性能面の補強にプラスされる金額を事前に見積してもらった上で、慎重に購入するか判断しましょう。

■中古住宅のデメリット
現在、日本の住宅の平均寿命は約30年と言われています。
30年で潰れてしまうということではありません。
もちろん居住することは可能です。
しかし、耐震性能や断熱気密性能が十分に機能を果たさなくなってしまっているということです。
100年時代と言われている今、30代の方は残り60年以上を過ごす住宅です。
中古物件の建築年数にもよりますが、体力が落ちる年齢になるにつれて、耐震性能や断熱気密性能が劣化した住宅で過ごすのは体への負担が大きくなります。
平均寿命が延びている今、健康寿命を考えた家づくりに、中古住宅購入が正しい選択なのかしっかり考えましょう。
また、いくら間取り変更が可能でも、どうしても構造上取り除くことができない柱や壁もありますので、完全に思い通りにいかないという歯がゆさも出てきます。

次に実際、中古住宅を購入してリフォームやリノベーションを行うと総額支出はいくらになるのか計算してみましょう。

《計算条件》
 年齢30歳 ※35年の住宅ローン。ボーナス払い無し。金利1%で計算。

➀2,000万円で物件を購入し小規模リフォーム(500~1,000万円程度)をした場合
 約8.5万円×12ヶ月×35年間=総額3,000万円

②2,000万円で物件を購入し大規模リノベーション(1,000~2,000万円程度)をした場合
 約11万円×12ヶ月×35年間=総額4,000万円

更に、不動産取得税や固定資産税、将来的に修繕する費用などが上乗せされます。

購入金額だけを見ると、一見安いように感じますが、安心して暮らすにはプラスに費用がかかってしまうということも理解しておきましょう。

新築住宅(建売・規格・注文)

次に、新築住宅(建売・規格・注文)のメリットとデメリットをそれぞれ分けて考えてみましょう。

■新築住宅(建売住宅)のメリット
建売住宅は、即入居できるということと、既に建っている物の中身を確認した上で購入できるので、注文住宅のように物が見えずに契約するのが不安という方にはオススメです。
また、土地が無い方にとっては、土地も含めて購入できるので希望エリアで販売されている場合はメリットです。
一概には言えませんが、建売住宅は、比較的人気のエリアや分譲地などに建っていることが多く子育て世代のご家族が購入されるケースが多いため、小さなお子様がいらっしゃる場合は、ママ友なども出来やすいというメリットもあります。
別途土地を購入して注文住宅を建築するよりも、多少安く購入出来る可能性があります。

■新築住宅(建売住宅)のデメリット
建売住宅は、入居者が決まっていない状態で計画するため、大多数の方に受け入れられやすい間取りで建てるというのが一般的です。
そのため、賃貸住宅同様、住宅というハコに自身の暮らしを合わせるということになりますので、住んだ後に不満が出てくる方が多くいらっしゃるのも実情です。

■新築住宅(規格住宅)のメリット
規格住宅は、いくつかのパターンの中から選択することが出来るため、建売住宅よりも多少好みの間取りにする事や壁紙なども選べるというメリットがあります。
材料などが規格で大量生産することが可能な為、注文住宅よりも、多少安く建築出来る可能性があります。

■新築住宅(規格住宅)のデメリット
規格住宅も建売住宅同様、大多数の方に受け入れられやすい間取りのパターンで構築されている為、住宅というハコに自身の暮らしを合わせるということに代わりはありません。

■新築住宅(注文住宅)のメリット
今まで紹介してきた住宅の種類の中で唯一、形も何も見えないゼロから作り上げる物です。
そのため、ご自身の暮らしに住宅というハコを合わせたいと思われる方は、注文住宅一択です。
また、人は人生の7割を住宅の中で過ごしていると言われています。
最近は、旅行や老後のために、住宅への資金は節約志向の風潮が見られますが、本当に7割もの時間を過ごす住宅を節約しても良いのかしっかりと考えましょう。
しかし、注意が必要なのが、注文住宅と言いつつも、好みの屋根形状や部屋数、部屋の希望面積だけを聞いて作ったもらった間取りは、規格住宅と何ら変わりません。
リビングはリビングでも、「子どもとプラレールをつなげて遊びたい!」や「家族それぞれのヨギボーでゴロゴロしたい!」や「大画面モニターでワールドカップ観戦したい!」など、本当のあなたの暮らしを聴いてくれて、それに合ったリビングづくりをする。
これが本来の注文住宅の在り方です。
そういった住宅会社に出会えない場合は是非、当研究所にご相談ください。
日本全国対応させていただきます。
info@tebiki-labo.casa

■新築住宅(注文住宅)のデメリット
ゼロからつくるため時間と労力がかかります。
しかし、これから住まう60年間の内のたったの数日~数か月です。
これから住まう60年間が幸せな物になると考え、今、頑張りましょう。
また、良い住宅会社に出会えない場合は、注文住宅にしても結局規格住宅と変わらず、無駄に高い金額を支払っただけになってしまうケースもありますので注意しましょう。

次に実際、住宅ローンを生涯払い続けると総額支出はいくらになるのか計算してみましょう。

《計算条件》
 年齢30歳 ※35年の住宅ローン。ボーナス払い無し。金利1%で計算。

➀3,000万円の戸建の場合(土地費用込み) ※建売や規格の金額に相当
 約8万5千円×12ヶ月×35年間=総額3,000万円

②5,000万円の戸建の場合(土地費用込み)
 約14万円×12ヶ月×35年間=総額5,000万円

③7,000万円の戸建の場合(土地費用込み)
 約20万円×12ヶ月×35年間=総額7,000万円

更に戸建の場合は、不動産取得税や固定資産税、将来的に修繕する費用などが上乗せされます。

しかし、住宅というハコにご家族の暮らしを合わせる生活ではなく、ご家族の暮らしに住宅というハコをつくることが出来、60年間という年月を満足して暮らせる時の費用対効果はかなり高いと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか。

いくらの賃貸なのか、いくらの中古住宅なのか、どのくらいこだわった注文住宅にしたいのかでもちろん変わりますので、金額については不確定要素の多いお話ではありますが、あくまでも参考の目安だと思ってください。

目先の高い安いで判断するのではなく、これから住まう一生涯の事を考えて何を選択すべきなのかを考えるヒントにしてもらえたら幸いです。

賃貸住宅と持家(分譲マンション/中古戸建/新築戸建)について、のメリットとデメリット、参考金額比較でお伝えしましたが、意外と、どれを選んでも一生涯という時間軸を入れて考えたら、そこまで金額の差がないと思われたのではないでしょうか。

実際ご自身では判断出来兼ねる場合は、是非当研究所にご相談ください。
info@tebiki-labo.casa

《執筆者》

一般社団法人 住宅研究所
「暮らし視点の住まいづくり」研究開発担当
主任 谷口真帆香