ローコストメーカーの安さの秘密

ローコストメーカーは、大手ハウスメーカーに比べて低コストという事を売りにしています。

そのため、欠陥住宅なのでは?と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

決して、低コストだからと言って欠陥住宅という事ではありません。

今回は、ローコストメーカーの安さの秘密を正しく理解し、ご自身が何を重視しどこに費用のウェイトをかけるのかの判断材料にしていただけると幸いです。

着工数

ローコストメーカーの中でも、各社様々な取組や工夫がありますので一概には言い切れませんが、価格の差に大きな影響を与えているのは着工数です。

例えば、ローコストメーカーは40坪2000万円の住宅を100件で20憶円の売上、大手ハウスメーカーは40坪4000万円の住宅を50件で20億円の売上というように、ローコストメーカーは、大量生産することで価格を抑える工夫をしているケースが多い場合があります。

そのため、「住宅性能のレベル」や「プラン/間取りや住宅設備」等に対する自由度については大手ハウスメーカーの方が高い可能性があります。

住宅性能のレベルの自由度

現在、日本で住宅を建築するには、建築基準法に則った申請や検査を受けることが定められています。

建築基準法とは、国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についての最低限の基準を定めた法律です。

つまり、いくら低コストだからと言って、欠陥住宅になる事はあり得ませんので安心してください。

しかし、国が指定する性能等級以上の住宅性能レベルを求められる方に対する幅広い対応力は、大手ハウスメーカーの方が高い可能性があります。

国が指定する性能等級以上の住宅性能例

■ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

住宅で使われるエネルギーと住宅が創り出すエネルギーの差を概ね0にするということです。

つまり、高い断熱性能や空調設備などの省エネアイテムによって使われるエネルギーを可能な限り小さくし、太陽光発電などの創り出すエネルギーを可能な限り大きくすることによってZEHは実現します。

■HEAT20

ZEHよりも、更に住宅性能のレベルを高めた基準です。

HEAT20の中でも、G1~G3と3段階のレベルに分かれています。

小さい方が性能高いとされる外皮性能で比較しますと以下の通り、ZEH<G1<G2<G3で高性能になっていきます。

・ZEH…0.60W/㎡K
・HEAT20(G1)…0.56W/㎡K( 冬の住宅内体感温度が10℃を下回らない性能)
・HEAT20(G2)…0.46W/㎡K( 冬の住宅内体感温度が13℃を下回らない性能)
・HEAT20(G3)…0.26W/㎡K( 冬の住宅内体感温度が15℃を下回らない性能)

※体感温度={(壁、床、天井の平均温度)+室温}÷2

体感温度には個人差がありますし、数値で示されても差が分かりにくいと思いますので、是非一度実際に体感した上で、ご自身の求める住宅性能を選択してください。

ローコストメーカーは、住宅性能レベルについては大手ハウスメーカーに劣るかもしれませんが、日々如何に高い住宅性能に標準化出来るか研究に研究を重ね工夫しているのです。

プラン/間取りや住宅設備の自由度

ローコストメーカーは、プラン/間取りや住宅設備などに、選択肢の中で選ばなければならないという制限がある場合があります。

例えば、前述の通り、低コストを実現した上で国が定める性能レベルをクリアするために、標準化された構造用の材料や断熱材、サッシの性能に制限がかかるため、リビングに面する大きな窓の高さや幅に制限があったり、LDKの大空間に制限があったりします。

しかし、より多くの日本人の生活に対して効率的に考えられた厳選プランを用意したり、制限がある中で最大限の工夫をしています。

その点、大手ハウスメーカーは、大きな窓や大空間を自由に採り入れた上で、国の基準はもちろんの事、更に高い住宅性能を求めることも可能な構造用の材料や断熱材、サッシの性能を使用しているため、高コストの一因にもなっています。

まとめ

両者の住宅コストの差の理由はご理解いただけたでしょうか。

ローコストメーカーは、欠陥住宅を作って低コストにし利益を上げている訳ではなく、可能な限りの性能を実現しつつ可能な限り標準化することで低コストを実現しています。

大手ハウスメーカーは、高コストにして利益を上げている訳ではなく、住宅性能やプラン/間取り/住宅設備などの自由度を上げるための構造用材料や断熱材、サッシの性能等にコストがかかっているのです。

両者とも工夫と努力をし、それぞれにメリットとデメリットが存在します。

「どのような暮らしがしたいのか」によって、求める住宅性能やプラン/間取り/住宅設備は異なります。
ご自身のご家族にとって何を重視するのかをしっかり考え、判断し、最高の住宅を計画しましょう。

《執筆者》

一般社団法人 住宅研究所
「暮らし視点の住まいづくり」研究開発担当
主任 谷口真帆香